微生物検査

感染症を引き起こす病原体としてウイルス、細菌、真菌、寄生虫などがあります。当院の微生物検査室は主に細菌、真菌について検査を実施しています。患者さんから採取された材料(血液、尿、喀痰、便など)から感染症の原因となるものが何であるか、細菌や真菌が検出された場合、それらにどのような薬が効くかを検査しています。また、様々な感染症に関する情報を迅速・正確に臨床へお届けすることを心がけています。

顕微鏡検査

グラム染色

感染が疑われる部位から採取された検体を「グラム染色」で染色し、染色性(青紫色や赤色)や形態(丸や四角など)からどのような種類の菌が存在するか確認することができます。炎症を起こしている時に出てくる細胞(好中球等)の確認もできます。

グラム染色

<グラム染色>×1,000

抗酸菌染色

結核菌を含む抗酸菌と呼ばれる細菌は「チール・ネルゼン染色」または「蛍光染色」で菌の存在を確認します。当院の蛍光染色では抗酸菌はオレンジ色に光って見えます。

チール・ネルゼン染色

<チール・ネルゼン染色>×1,000

蛍光染色

<蛍光染色>×400

分離培養検査

分離培養では患者さんから採取した材料を栄養豊富な寒天(寒天平板培地)に塗り、一晩培養することで菌が存在すれば目に見える塊(コロニー)で発育します。

同定検査

発育してきた菌の名前を決定する検査が同定検査です。発育した菌の塊(コロニー)の色や形を観察し、個々の菌の性状を試薬や機器で調べることにより発育してきた菌がどのような菌であるかがわかります。

薬剤感受性検査

発育してきた菌の中で感染症の原因となる菌に対してどのような抗菌薬が効くのかを調べる検査が薬剤感受性試験です。中には抗菌薬が効かない菌(薬剤耐性菌)もいます。そのような菌が検出された場合には、さらにどのような要因で薬が効かないのか、どのような薬剤の組み合わせが良いのかを調べることもあります。