生化学・免疫検査

中央採血室待合い椅子の正面にある「機械とコンピュータだらけの部屋」が生化学検査室です。 現在6名の臨床検査技師を配置し、年間約150万件の検査を行っています。 これだけ多くの検査を少ない人数で、正確な結果を提供するために、開院以来、 徹底した自動化を目指して検査室を作ってきました。 お陰様で、日本でも有数の効率的な検査室として評価されています。

私達は、患者さんに最高水準の医療を提供できるための精度の高い検査体制を整備しています。しかし、パートナーは毎日24時間動いている《働き者の機械たち》です。 時には疲れてへそを曲げる(故障)こともあります。私どもも全力でなだめています(復旧させています)ので、 その節は、温かい目で見守って頂けたら、幸いです。

生化学検査

患者さんより採取された血液や尿に含まれる酵素成分(AST、ALT、LDHなど)、脂質成分(コレステロールなど)、タンパク質成分(アルブミンなど)、タンパク質の分解産物(クレアチニン、尿酸など)生体微量金属成分(鉄、マグネシウム)等、およそ90種類もの項目について自動分析装置(cobas8000)を使用して、迅速かつ正確に測定しています。これらの検査結果から患者さんの診断そして治療方針決定に繋がっています。

cobas8000

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検査項目

検査項目名 説 明
TP
(総蛋白)
総蛋白は、アルブミンとグロブリンに大きく分けられ、その比率(A/G比)をみることで、全身の健康状態の参考にします。
ALB
(アルブミン)
A/G比
(アルブミ/グロブリン比)
T-Bil
(総ビリルビン)
肝臓の機能、特に黄疸の有無やその種類がわかります。
D-Bil
(直接ビリルビン)
AST
(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)
肝臓や心臓、骨格筋に多く含まれる酵素。これらの臓器が障害をうけると上昇します。
ALT
(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
肝臓に含まれる酵素で、肝臓が障害をうけると上昇します。
ALP
(アルカリ性ホスファターゼ)
肝臓や胆道、骨などに多く含まれ、これらの臓器が障害をうけると上昇します。また、成長期の子供や妊婦でも高値になります。
γ-GT
(γ-グルタミントランスフェラーゼ)
肝臓や胆道で胆汁うっ滞があると上昇します。また、過度の飲酒で高値になる場合があります。
LDH
(乳酸脱水素酵素)
肝臓や心臓、肺、骨格筋など多くの臓器に含まれており、特に肝機能障害、心筋梗塞、貧血などで上昇します。
ChE
(コリンエステラーゼ)
肝臓で作られる酵素で、肝機能障害があると低下します。
CK
(クレアチンキナーゼ)
骨格筋や心臓、脳に含まれており、特に心筋梗塞や筋肉の障害で上昇します。また、運動後でも高値になります。
BNP
(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド)
心臓の働きを反映する検査。心筋梗塞や心不全の診断・治療経過の判定に用いられます。
NT-ProBNP
(ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント)
TG
(中性脂肪)
食後に増加し、エネルギー源として蓄えられます。高脂血症で高値になります。
T-Cho
(総コレステロール)
肝臓でのコレステロール合成や栄養状態を反映します。高脂血症で高値になります。
HDL-Cho
(HDL-コレステロール)
善玉コレステロールと呼ばれ、血管壁に付着したLDL-コレステロールを取り除き、動脈硬化を防ぐ働きがあります。
LDL-Cho
(LDL-コレステロール)
悪玉コレステロールと呼ばれ、高値では動脈硬化の原因となります。
GLU
(血糖)
糖尿病の診断に用いられます。また、食後の検査では高値になります。
HbA1c
(ヘモグロビンA1c)
1~2ヶ月前の血糖の状態を反映します。
IRI
(インスリン)
食後に膵臓から分泌されるホルモン。血糖を下げる作用があります。
C-PEP
(C-ペプチド)
膵臓からインスリンと同じ割合で分泌されるので、間接的にインスリンの値を知ることができます。
GA
(グリコアルブミン)
2~3週間前の血糖の状態がわかります。
UA
(尿素窒素)
腎臓から排泄される老廃物。腎機能に障害があると上昇します。
CRE
(クレアチニン)
UA
(尿酸)
高値では関節や臓器に沈着して痛風の原因となります。
Na
(ナトリウム)
水分やミネラル(電解質)のバランスから栄養状態や腎臓の状態がわかります。また、カリウムは血圧を調整しています。
K
(カリウム)
Cl
(クロール)
Ca
(カルシウム)
ホルモン分泌や骨代謝を調節する主要なミネラルです。
IP
(無機リン)
AMY
(アミラーゼ)
膵臓や唾液腺から分泌される消化酵素。膵疾患や唾液腺の障害で上昇します。
Fe
(血清鉄)
体内の鉄代謝を反映しており、貧血の原因としての鉄の過不足がわかります。
TIBC
(総鉄結合能)
UIBC
(不飽和鉄結合能)
フェリチン
CRP
(C反応性蛋白)
炎症の診断や治療経過の判定に用いられます。

免疫検査

感染症(B型肝炎、C型肝炎、HIV抗体、HTLV抗体など)の検査、腫瘍マーカー 検査について自動分析装置(ARCHITECT i2000SR、HISCL-5000、cobas8000、μTAS-Wako)を使用して測定しています。また、自己抗体(リウマチ因子など)の検査なども行っています。さらに、COVID-19の検査においても、微生物検査室でのLAMP法に加え、抗原検査およびPCR検査も2020年の12月より開始しています。

HISCL-5000

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